わたしがわたくしとして編み続けていられるために|ニット作家 浅田陽子

TankaTankaの最近のブログ記事

 

ライスペーパー日々貼り付けてゆくやうに母の躰は自由を失くす

浅田陽子

『青潮』 (2017年9月号)より

 

 

 

 

 

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「 お母さまは、『人間の老い』  というモノを、

身をもってあなたに知らせておられるのです。

ですから目を逸らさずに、しっかりと見届けてあげなさい。」

 

 

これは、人生の大先輩からの助言です。    感謝!

 

 

 

揺るる枝、揺れざる枝をひと本に収め欅の巨木は立てり

生還者、戦死者分くる薄き紙 今年の夏の黙祷をする (戦死告知書)

浅田陽子

『青潮』 (2017年11月号)より

 

 

 

 

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   樹齢800年の欅 (けやき)は

   全てを内包する存在のように

   思われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今日は 「 平成 」 最後の 「 全国戦没者追悼式 」 が行われました。

戦没者の方々のご冥福を心からお祈り致します。

 

 

 

 

百日紅 ( くすぐり ) の重き花房塀の上に斬首のやうに乗りて収まる

銃剣を立ててその上に顎を乗せ眠るは父か 雨を隔てて

浅田陽子

『青潮』 (2017年11月号)より

 

 

 

 

P1140783.JPG   こちらも、百日紅の実景と

   戦時中の父の姿とを

   重ね合わせて詠んだ二首です。

 

   雨の中に見た、まぼろし・・・。

 

   

   

 

 

 

 

 

 

 

 

終戦の日を前に、テレビでは戦争関連の様々な作品が放映されています。

 

我々の世代に出来る事は、

当時の人々の生き様に思いを馳せる事と、語り継ぐ事・・・?

 

 

 

 

つづく

 

 

かの夏のサイダーの泡想はしめ白き百日紅 ( くすぐり ) しはしはと咲く

若き日の父の喉骨尖らせてサイダー瓶は耀いてゐつ

浅田陽子

『青潮』 (2017年11月号)より

 

 

 

 

 

P1160035.JPG   昨年夏に詠んだ

   連作十首の中の二首。

   ※この十首は、5つのテーマが

   二首一組で構成されています。

 

   上記の二首は・・・、

   目の前に在る百日紅(実景)から

   インスパイアされた情景と、

   学徒動員された頃の父の姿とを

   重ね合わせつつ詠んでます。

   

 

   

 

 

 

百日紅 (さるすべり) は九州地方の方言で、

「くすぐり」 とも読むそうです。

 

 

つづく

 

北斎の弧をなす波を想はしめ乾燥機にて衣類は回る

浅田陽子

『青潮』 (2018年1月号)より

 

 

 

 

P1150958.JPG    30年近く使用してきた衣類乾燥機が

   この梅雨、ついにダウン!

   そこで、新たにお目見えした

   機種がこちらです。

 

   様々な乾燥の方法を選別でき、

   乾燥が終了すると、自動的に

   ブザー音で知らせてくれる

   スグレモノ・・・。   

 

 

 

 

 

 

「 北斎の弧をなす波 」とは・・・、

葛飾北斎の名所浮世絵揃物 「 富嶽三十六景 」の中の

「 神奈川沖浪裏 」図に描かれている、大波の事。

 

 

以前の乾燥機は、透明な窓の部分が大きかった事と、

右回りだったので、上記の短歌が生まれました。

   

 

 

 

うすぺらな使ひ古しは新品にくつつけられて石鹸太る

浅田陽子

 

 

 

 

P1150710.JPG    大昔、若い頃に詠んだ歌です。

 

    読み方によっては、

    世代交代の歌ともとられる様で・・・、  

 

    もしも、そうであれば、

    上句の表現がまことに失礼!

 

 

 

 

 

 

様々な解釈を想定してから、歌会で発表すべきであった、と

深く深く後悔した記憶があります。

 

 

新年度が始まったこの時期に思い出す、苦い苦い作品です。  

 

 

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※ 「くつつけられて」 について・・・。

 

私の短歌作品は、 旧仮名遣いで詠んでいるので、

促音の 「っ」 は 「つ」 と表記されます。

 

 従って、現代表記の 「くっつけられて」 (付着させられて) は、

「くつつけられて」 となります。

 

 

いちめんに落ちし椿の鮮らけし銃乱射後の静けさに似て

浅田陽子

『青潮』 (2005年1月号)より

 

 

 

P1150511-001.JPG   地面を覆いつくす様に散った椿から、

   鮮血を連想した作品。

 

 

 

 

   ※ 画像の花は、

     永源山公園内の山茶花で、

     歌を詠んだ時の落椿と比べると・・・、

     花の散り方や色彩に

     若干の違いがあります。

   

 

 

 

 

 

 

「テロ」という言葉が、頻繁に言われるようになった頃の作品です。  

 

   

 

繰り返し氷上に転ぶ選手へと木洩れ日のやうな拍手湧き来る

浅田陽子

 

 

 

P1000259.JPG   連日、冬季オリンピックでの

   日本選手たちの活躍が

   伝えられています。

 

   そんな中、今日の

   羽生選手、宇野選手の演技は

   本当に感動的でした。

   Congratulation!

 

 

 

 

 

 

上記の短歌は、力を出し切れず、何度も転倒を繰り返す選手への励ましの歌。

※即興で詠んだ為、推敲不足です。m(__)m

 

 

祖国の期待に圧し潰されたか否か・・・?は不明ですが、小国の選手。

 

何度も何度も立ち上がって演技を続けるその青年へ、

会場から静かに湧き上がった温かな拍手・・・。Go for it!

 

 

 

様々なストーリーと共に、平昌オリンピックも後半戦に入りました。

 

 

観音になり損ねたるわたくしの眉間の黒子やや右に寄る

浅田陽子

『青潮』 (2018年1月号)より

 

 

 

 

 

P1150459.JPG  こちらはウチの観音様で、昔から

  母に似ている!と、皆から言われます。

 

  そう言えば・・・、母は怒ってムッとした時、

  こんな顔になります。

 

  観音様の眉間に在るのは、

  黒子(ほくろ)ではなく、

  白毫(びゃくごう)という白くて長い毛で、

  その毛をぐるぐると右巻きにして

  丸く収めたモノ・・・だそうです。

 

 

 

 

 

毎日のお手入れが大変そう~、などという事はともかく、

 

観音さまの様に穏やかな心持で

余生を過ごしたい・・・と思うこの頃です。

 

 

Tanka Tanka 「 鳥語 」 vol.166

 

赤い実を啄む鳥に鳥語もて応ふる母の舌先軽(かろ)し

浅田陽子

『青潮』 (2018年1月号)より

 

 

P1150067.JPG 『青潮』2018年の1月号が届きました!

 

  今回掲載して頂いた七首の内、

  三首は母を詠んだ歌です。 

 

 ← この木にやって来る鳥たちに

   母はいつも、「ツィツィツィ・・・」

   と、何とも不思議な鳥語(口調)で

   話しかけています。

 

 

 

 

 

 

私が所属している短歌結社の『青潮』に、提出する歌の材料がない時は、

とりあえず母を観察する、そんな一年でした。

 

 

今年も健やかな母の歌で締めくくられた事に、心から感謝します。

 

 

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